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「エンタの神様」カンニング

2004年07月10日 | 日々嘉綴 アンテナ | del.icio.usに追加 | はてなブックマークに追加 | livedoorクリップに追加

2004.7.10 sat 22:00〜
日本テレビ
オススメ度:★★★★

メインカルチャーとサブカルチャーの境界線にあるものは何か。その境界線をマスメディアはどうあつかうか。あいかわらず解決されない問題……

「エンタの神様」(NTV)でカンニングというお笑いコンビを見た。業界や観客に対してある種自虐的とすら言えるような罵声を大声でがなり立てるというかなり異色の芸風で、形態としてはコントや漫才というより演説や即興劇に近いかもしれない。以前関西ローカルの番組に出演していたのを見てその時もなかなか忘れられない印象だったが、7月10日同番組で繰り広げられたものはそれをはるかに超えてショッキングにすら思えた。

おおまかな内容は以下の通り。キレ役の竹山がいきなり「打ち合わせ台本は捨てた!あんなネタはやらん」と豪語。パンツのチャックからシャツの端を出したり、靴下を半分脱いだりして「こんな芸人どうや!」と自虐的に日テレと同番組を避難。そして「おまえらオレが口だけやと思ってるやろ!」と言いながらステージ上で脱糞すると尻をまくったところでスタッフに取り押さえられる……だいたいこんな感じ。

もちろんこれまでもしたり顔で視聴者をいたずらにまどわしてきたテレビである。全てが台本どおりなのだと言われれば「あぁ、やっぱりか」と納得しうる。ただそんなことは抜きとしても、同放送は既存のテレビコンテンツの内容からすると極めて過激であり、強烈だった。それはある意味「最悪」で、ある意味「最高」でもある。もちろんそれは社会倫理と個人表現という矛盾するふたつの正義においてである。

ああいう芸人がいることも、ああいう芸風でやあることも、別に責められる事ではない。むしろ問題なのはそれを放送した日テレの姿勢にある。安易な数字取りなのか、それとも彼らは彼らで革命を起こそうとしたのか、その真意はわからない。ただ、いずれにせよかなり確信犯的であることには間違いはなく、またしてもその見えそうで見えないしたり顔だけが視聴者の中に残る。そして当の芸人はといえば? 

お笑いにかぎらず、生まれた時から必然的にサブカルなものというのは必ずある。それに対してマスの頂点にあるテレビメディアがどのように接していくかはかなり難しい問題だ。結果的に喰いモノにしてしまうこともある。喰いモノにされてしまうこともある。ただ、そのせめぎ合いの中である種の実験が行われるのであれば、それがたとえゴールデンに不似合いな内容であっても、われわれはそれを受け止めて冷静に判断する必要があるだろう。ただ、今回の「エンタの神様」に関しては、プロデューサーだかだれだか知らないが脂ぎった業界人の浅はかな悪知恵ぐらいにしか受け取る事はできなかった。そういった意味できわめて不愉快な番組である。決してカンニングが不愉快なわけではない。(本当はまったく不愉快でなかったわけでもないのだけれど……)

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