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西野康造「空のかたち」
2004年08月01日 | 関西/大阪アートシーン | | |
2004.7.10(土)〜 8.29(日)
ARTCOURT Gallery(大阪・天満橋)
入場無料
オススメ度:★★★★
自分が言葉を使った仕事をしているせいもあるだろうが、私は既存の美術的言語に対してどうも斜に構えて見ているような節がある。ここで言うところの言語とは表現における形態のことだが、とりわけ彫刻に対するそうした想いは強い。例えば、無骨な鉄の固まりがほんの少し反りながらそこに存在しているということ。その正当性についてここで触れることではないが、ただそれが表現として優れた言語として成立しているかということに関してはかなり疑問だ。
西野康造という作家に対する予備知識はない。ただ今回の作品だけをみてその仕事を自分ありに評価するとすれば、前述の言語という意味合においてそれは抽象的な形をとっているにもかかわらず非常に雄弁だった。「空のかたち」といういささかスイートなタイトルも、本体の的をえながらもいい具合で印象を中和させている。こういう作品にたまに出会えるので、やっぱり彫刻もそれほど無視はできない。
高さ10メートルをこえる輪や複雑に連結されたモビール状の作品。大きいわりにアルミやチタンといった素材のせいか、いい意味でそれほど重量感はない。細いフレームで組み合わされた作品も、素材自体のしなやかさによって、空調の風を受けて振動している。丘の上にあって風になびくような印象。いわゆる金属彫刻に対する印象がここちよくずれていくのがおもしろい。
これらの作品からわれわれが受け取るものはかなり具体的な情景やシーンである。作品の存在の仕方自体を考えればそれほどの新しさも驚きもない。ただ、あえて遠回りな手法をとりながら最後にスイートな情景に回帰していくという面白さは美術としてひとつの正解だし、なによりその分かりやすさに私は純粋に心を動かされる。
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