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また誰かの作品を所有することになったなという気分
2006年05月26日 | 日々嘉綴 随筆 | | |
5月26日。11:00起床。このところ大きい音を聞くとスピーカーが割れるような音がするので、耳鼻科に行く。医者に事情を説明して内耳スコープと聴覚検査。鼓膜が少し腫れているが聴力に問題はないとのことで、診察料400円だけ払って薬ももらわずに帰る。自分はどうも耳のことになると過敏になってしまうところがあるみたい……だってややもんなぁ、音楽とか一生聞けなくなるの。
208で明日のshowcaseの準備、208ちかくの酒屋でビールとワインとジュースを買って帰って冷蔵庫に入れた。今回は予約の入りがあまりよろしくなく少し不安……。自分がこの手のイベントを企画して思うことは、世の中の人はまだ価値が定まっていないものに対して本当に興味がないんだなということ。某アート系NPOのミーティングだってそう、みんななんだかいって自分の手の届く物にしか興味を示さない。仕掛ける方も仕掛けられる方もそんな調子だから仕方ないのかもしれないけれど、それにしたって何とかならんものかね。
18:00〜、写真家・森善之さんと詩人・上田假奈代さんの詩写真集『うた』の出版記念展覧会のオープニングパーティーに顔を出す。会場は心斎橋のペーパーボイスギャラリー。内容は写真展と言葉の並列展示で、さらに音声案内ガイドのような機械で上田さんの朗読が加わる仕組み。ギャラリー奥には「国家」をテーマとしたコラージュのような展示もなされていた。いかにもパーティーな団欒の中をぬって一通り作品を見るが、どうもバラバラな印象。というかオープニングパーティーってのはだいたいこういうもんで、結局ちゃんと作品が見れなくてモヤモヤするのだ。だからというわけでもないのだけれど、2500円の写真集を買って、それにお二人のサインをしてもらって会場を出る。
18:30、recip。予定時刻になっても誰も来ないので、エレベーターの際でタバコを吸いながら買ったばかりの写真集を読んだ。ペーパーボイスではバラバラだった言葉と写真が本の中できれいに結びついて、いろんな物語や情景を作ってく。でもって、ページをめくるたびに出会ういろんな手触りと間がとても気持ちいい。もちろん時には流れを止めてしまうようなページや言葉があったりもするのだけれど(あの英訳はどう?)、それでも何かが気持ちには十分染みていく感じがした。アートディレクションもいい仕事をしている。読み終わった時、また誰かの作品を所有することになったなというような気分になった。
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