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かなもりゆうこ展「Violet」
2007年02月19日 | 関西/大阪アートシーン | | |
208でもお世話になってるかなもりゆうこさんが神戸のCAP HOUSEで個展。昨年にほぼ思いつきに近い感じでかなもりさんに声をかけさせてもらって実現した。よかったよかった。
今回の展覧会は彼女がここ数年制作してきたインスタレーション3作品をはじめて一カ所に集めたもの。つまりそれぞれはすでに発表済みなわけだけれど、今回CAP HOUSEの展示にあわせるかたちでかなり再構成されたものでもとのものとは少し違うらしい。というか実は僕自身、彼女のインスタレーションとしての作品を生で見るのは初めてだったりする。
で、内容はともかく印象。断片的な言葉なりシーンなり匂いなり記憶のようなものがあつまって、思い返すとまるで脈絡のない夢のような物語が生まれて、結果的に三つの「色」に集約されてく……一言で言うとそんなかんじ。そして不確かな印象だけがはっきりと残る。あぁ、これは確かにおもしろい。不確かさの後ろ盾としてあまりにもさりげなく作り込まれた細部も作家のストイックさが宿っているようで……って、あれ? なんかおかしいぞ?
うまく説明できないけれど、この展覧会にはいろいろよくわからない矛盾が意図的に仕組まれているように思う。少なくとも作品で示された世界は「ストイック」からはものすごく遠いわけだけれど、その反面で作家は自身のストイックさの痕跡ををこれでもかというくらいに(でもさりげなく)残す。インスタレーションを作り込んでおきながら、その核は平面に映し出された実体のない映像でしかなく、そのギミックをあえて見せるような展示方法も安には腑に落ちない。ついでに言うなら、素材感はまるでフェイクそのものなわけで、だからこそそれを含めた印象だけが浮上するのかもしれないけれど、ならばこの印象の実体はなんだろうかという気にもなる。うーん、なんだこの変なカンジ?
以前何人かの友人がかなもりさんの作品について乙女的な文脈で語っていたけれど、自分はまったくそんなふうに受け取ることができなかった。乙女というにこれはしたたかにトリッキーすぎる。でも、そのトリックがトリックなのかどうかが分からない。少なくとも初日のアーティストトークで彼女が通らない声で語っている様子を見ていると、けっしてそれが作為的なトリックだなんて思えなかった。そういうことも含めて、この展覧会にはまれにみる「あと味」があって、それこそがものすごく魅力的に思えた。
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