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CAP HOUSEでメガネフレームを企画する理由

2007年10月08日 | 関西/大阪アートシーン | del.icio.usに追加 | はてなブックマークに追加 | livedoorクリップに追加

今さらですが、昨年の10月から208で毎月『メガネフレーム』というアニメーションの上映とレクチャーのパーティーを企画しています。上映作品のセレクトとレクチャーをやってくれているのは市川ヨウヘイ氏。彼は京橋にある古本屋「メガネヤ」の店主ですが、同時に「オタク学」の視点から日の目を見ないテレビアニメの草の根的普及活動を展開するアニメエヴァンジェリストでもあります。

208 salon "Meagne Frame vol.1"
京橋「メガネヤ」店主、市川ヨウヘイ氏。

で、実はこの度このメガネフレームをはじめて208以外で行なうことになりました。場所は神戸のアーティストランスペース・CAP HOUSE、開催日は今週金曜日。同スペースで活動するアーティストたちが6週間にわたって様々なイベントをプロデュースするイベント「リビングルーム」の1発目です。興味のある方はぜひご参加ください。

これまでメガネフレームを企画してきた一番の理由は、僕自身がアニメを通してそれまで知らなかった言語もしくは視点を習得していくことに強烈な快感を覚えたことにあります。アニメ、それも誰もが子供のころから普通に消費してきたはずのテレビアニメを文脈にそって読み解いていくことで、それらを今一度新鮮に鑑賞することができると同時に、「見る」ではなく「観る」ことの面白さを実感することが出来る。そしてそれは根底の部分でいわゆる「美術」と呼ばれる文脈と交わるどころか、同化すらしてしまうのだと考えています。

このような考えに至る上で、市川氏は全くもって最高のナビゲーション役を勤めてくれました。今となってはずいぶんと古い話ですが、メガネフレームをはじめる数ヶ月前、僕はメガネヤで非常に面白い体験をしました。僕が何の気無しに言った「アニメなんて所詮お話を伝える道具でしょ」といった言葉を受け、市川氏は店のバックヤードから何本かのビデオを引っ張りだし、アニメがアニメであるための基本的な要素である「動く」ということに対して非常に端的な方法で解説してくれたのです、その方法とはつまり、14インチほどの小さなテレビにアニメを流しながら、「今動いてるでしょ」「今動いてないでしょ」とリアルタイムで指摘するというものでした。そして驚くべきことにその「動く」ということが、物語が語られていく上のある種の密度となって表れるのだということを知ることができたのでした。

RIMG0091.JPG
メガネ屋じゃなく古本屋の京橋「メガネヤ」

この出来事はそのままメガネフレームという企画に繋がっていったわけですが、実際のイベントで触れられる内容は決して画面から受け取れることだけではありませんでした。業界の構造、現場の人員構成、玩具会社の思惑、特撮やフィギアなどからのフィードバックなどなど……そうした様々な文脈が複雑に絡み合った結果としてアニメ(そしてその多くが子供向けである)が生まれているという事実はとても興味深いことでした。そして何より驚くべきことは、それら難解な文脈を読み解くことをオタクと呼ばれている人たちはアニメを観る上での当然のマナー?として身につけ、それに呼応する形で作り手はさらに難解な作品をつくるという状況が、アニメの世界には消費のレベルで存在しているということでした。この有り様はまるでファインアートの様で、いやむしろそれ以上に成熟した「観る」ことを通したコミュニケーションであると感じたのです。

MEGANE FLAME vol.4
メガネフレームの様子。こんな感じでやってます。

すこし長くなりましたけど、こういった考えのもと、あえてがっつりアートな文脈にあるCAP HOUSEでメガネフレームを企画させてもらいました。このご時世、アニメというだけで企画としては少々取っ付きにくいかもしれませんが、むしろアニメに対して距離を感じている人にこそ参加してほしいと思っています。

アニメのこんな見方、教えます「メガネフレーム」
http://cap-kobe.com/house/info/livingroom/index.htm

“萌え”だけがアニメじゃない! アニメとジャージをこよなく愛する大阪京橋の古本屋「メガネヤ」店主の市川ヨウヘイさんが、珠玉のアニメマスターピースをセレクト、あなたの知らないアニメの「見方」「読み方」を分かりやすく伝授します。

日時:10月12日(金) 19:00〜21:00 
ゲスト:市川ヨウヘイ(古本屋「メガネヤ」主人)
ホスト:岩淵拓郎(美術家)
参加費:当日1000円/予約900円(1ドリンク・ポップコーン付き)
会 場:神戸CAP HOUSE
    神戸市中央区山本通3丁目19-8
    TEL,FAX 078-230-8707
主 催:C.A.P. (特定非営利活動法人 芸術と計画会議)

《ゲスト》市川ヨウヘイ
大阪京橋の古本屋「メガネヤ」主人。いわゆる「オタク学」の視点から日の目を見ない非萌えテレビアニメの草の根的普及活動を展開中。自転車で20分かけてかき氷を食べにいく行動派で、今年は夏フェスにも行った。
メガネヤ:http://blog.zaq.ne.jp/megane/

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