みんなのたからづかマチ文庫

マチ文庫ロゴ
2018年3月
業務内容:プロジェクトの立案 / プロデュース
クライアント:宝塚市図書館・(公財)宝塚市文化財団

表現と編集、ZINEによる新たな市民アーカイブの実践

一般の市民が制作した地域に関する本・冊子(ZINE)を図書館の蔵書として加える宝塚市立図書館の市民アーカイブ・プロジェクト。寄せられた冊子は、一般の書籍と同じように公開・共有・貸出(一部は閲覧のみ)され、また地域の資料としても無期限で保存・保管されます。

プロジェクトの発端は、2014年に宝塚市立西図書館で開催された「my home town わたしのマチオモイ帖 in 宝塚」展。マチオモイ帖とは、クリエイターが自分の関わりのある町を題材にZINEを制作する大阪発のプロジェクトです。これを宝塚として単なる巡回先から一歩進めてどう引き取るかを考えたとき、対象を市民に広げて、編集力の向上と地域のアーカイブのプロジェクトとすることを思いつきました。そしてそれを宝塚市立中央図書館の田野館長(当時)にお話したところ、「それやりましょう」とまさかの一言で実現してくださいました。

マチ文庫は、地域の公立図書館が主導するアーカイブプロジェクトとしては、あらゆる点でかなり個性的です。そもそも個々のマチ文庫は、制作者である市民の表現物であり、これを理由に内容に関して精査は行われていません(権利侵害や公序良俗に反しないかなど図書館で扱うための最低限のチェックを除く)。これらを地域の資料としてアーカイブすることに議論の余地はあるでしょう。しかし、そこに記された荒削りな言葉や、一般化されていない編集視点もまた、町の多面性を後世へと伝える重要な意味を持ちうるのではないかと、個人的には考えています。

思いがけずあまりにもスムーズに(さらにはまともな予算もつかないまま……)スタートしたプロジェクトでしたが、それでも多くの市民に興味を持っていただき、2018年度末までで78冊の個性豊かなマチ文庫が市民から寄せられました。

みんなのたからづかマチ文庫
時期
2015年度〜
主催
宝塚市立図書館・(公財)宝塚市文化財団(2019年〜)
関連リンク
みんなのたからづかマチ文庫(公式サイト)