音楽とそれを愛するわたしたちリスナーを取り巻く環境は、ここ10年でかつてないほどの大きな変革を迎えました。音楽メディアの中心であったCDは物理的な形や重さを持たないデータそのものへと交代しました。今や音楽はインターネットを通じて瞬時に手に入れることができ、さらにそれらをデジタルプレイヤーに詰め込んでどこへでも持って行くことが可能です。またプロ・アマ問わず多くの音楽家の作品がネット上で公開され、リスナーはそれらを自由に視聴することができるようにもなりました。
こうした環境の変化は、ユーザーによる音楽の楽しみ方そのものも大きく変化させました。もはやテレビやラジオで流れてくる音楽のほとんどは、日常における社交のための知識程度の意味しかもたず、同時代性を共有するものとしての価値はほぼ失われつつあるようにすら思われます。その反面、リスナーの音楽的趣向は極めて多様化し、同時に個々の文脈におけるタコツボ化も急速に進んでいるように感じられます。また技術の進化により個人でパソコンを使った録音・編集環境も充実し、リスナー側からの新たな表現のカタチも生まれています。そしてまた、こうした多様性によって既存の音楽業界が急速に縮小しつつあるといった現象も起きています。
はたして音楽はどこに向かおうとしているのでしょう。その答えはまだ誰にも分かりません。しかしこうした急激な変化の中にあるからこそ、少なくともわたしたちリスナーは音楽の楽しみ方について、今一度足を止め考える必要があるのかもしれません。なぜなら前述のさまざまな変化は、音楽の作り手であるミュージシャンやレコード会社によってではなく、むしろ受け手であるリスナーによって引き起こされたものだからです。そしてなにより、全てのリスナーは、音楽によってより多くの喜びや楽しみがもたらされることを切に願っているのです。
このような想いから、神戸アートビレッジセンター(通称、KAVC)では、音楽を聴くリスナーに焦点を当てた2日間のイベントを開催いたします。タイトルは「《音楽》の正しい聴き方 〜 13人のリスナーによる“耳”を広げる音楽の聴き方トークライブ2日間」。音楽家、美術家、評論家、編集者、研究者など、音楽を愛するさまざまな立場の方をお招きし、それぞれの音楽の聞き方・楽しみ方について語っていただきます。
イベント名 | 《音楽》の正しい聴き方 〜13人のリスナーによる“耳”を広げる音楽の聴き方トークライブ2日間 |
内容 | 主に関西で活躍する音楽を愛するクリエイター13人による「音楽の聞き方」をテーマとしたリレートークイベント。 |
日時 | 2010年5月8日(土)・9日(日) 12: 00~20: 00 |
会場 | 神戸アートビレッジセンター 神戸市兵庫区新開地5-3-14 tel. 078-512-5500 |
入場 | 無料(入退場自由) ※満員の場合には入場制限させていただく場合があります。 |
進行・聞き手 | 岩淵拓郎(メディアピクニック) 佐藤亘(もぐらが一周するまで) |
空間デザイン | 井上真彦(graf : decorative mode no.3 design products.inc) |
バックステージサーバント | 辻並麻由(geco-ya食堂) |
企画・制作 | メディアピクニック、神戸アートビレッジセンター |
主催 | 神戸アートビレッジセンター[大阪ガスビジネスクリエイト(株)] |
お問い合わせ | 神戸アートビレッジセンター 〒652-0811 神戸市兵庫区新開地5-3-14 tel.078-512-5500 url.http://kavc.or.jp |