展覧会の企画・キュレーション
宝塚市、(公財)宝塚市文化財団
“もーやんパイセン”と宝塚で出会い直す、1ヵ月限定のオープンアトリエ
宝塚市立文化芸術センターで開催された、宝塚ゆかりの美術家・元永定正(1922–2011)の展覧会を中心としたアートプロジェクト。宝塚市に寄贈された作品約60点のうち約30点を展示。あわせて会場全体を「オープンアトリエ」に見立て、作品を見る、感じたことを語り合う、自分でも表現する、をひとつの空間で行える場として構成しました。市民から募った約60脚の個性的な椅子、元永作品から着想したテーブル、週末ごとに会場に滞在する美術・映像・音楽・ダンスなどのアーティスト、そして6本のトーク&レクチャーを企画・実施しました。
市から最初に示された課題は、すでに高い評価を得ている元永定正を、宝塚の市民にとってより身近な存在にすること。しかし、作家本人がすでにおらず作品だけが残っている状況では、どうしても作家と鑑賞者の関係は、スターとファンのような一方通行のものになりがちです。そこで考えたのが、作品をいわゆる美術館的な「見るだけの場所」から引き出し、作家が表現していた場所=アトリエで、鑑賞者もまた表現する側として出会い直す、という方法でした。展示室をアトリエに読み替えることで、元永定正という大先輩との距離を少しでも縮められるのではないか――というのが、この企画の出発点です。
阪神間では具体はとても身近な存在で、僕自身も村上三郎さんをはじめ何人かの作家とは面識がありました。ただ元永さんには、残念ながら一度もお会いできないまま。今回のプロジェクトは、僕自身が元永さんに出会い直す機会でもありました。
鍵となった「オープンアトリエ」は、たんぽぽの家の冊子『オープンアトリエのつくりかた』の編集で出会った、誰もが表現を楽しめる場という考え方です。表現の場で、互いに表現する者として出会う。それが元永さんとの最良の出会い方だと考えました。
会期中は何度も足を運んでくれる人がいて、作品も材料も日々増えていき、血の通ったアトリエになったと思います。そして元永さんの人生のパートナーでアーティストの中辻悦子さんの「元永さんがいたら、きっとここで子どもたちと一緒になって絵を描いてた」という言葉が、何よりの賛辞でした。
「もーやんのオープンアトリエ」〜アーティスト・元永定正と表現の場をひらくアートプロジェクト
- 会期
- 2025年10月3日〜11月3日
- 会場
- 宝塚市立文化芸術センター 2階メインギャラリー
- 出展作家
- 元永定正
- キュレーション
- 岩淵拓郎(メディアピクニック)
- 主催
- 宝塚市、(公財)宝塚市文化財団
- 後援
- 宝塚市教育委員会
- 滞在アーティスト
- 壁がなければ、植松琢麿、林勇気、山根明季子、笹埜能史、岸本景子、パペトリオ、ジョー(こどもオモ部)、漂流詩、升田学
- トーク&レクチャー
- 中辻悦子、植松琢麿、三戸俊徳、加藤義夫、岡部太郎(たんぽぽの家)、山田早弓(壁がなければ)、かたらーる、元永定正を語る会
- 関連リンク
- 宝塚市立文化芸術センター:もーやんのオープンアトリエ
+5:わかるための表現、ひらくための編集:編集者・岩淵拓郎の30年
もーやんのオープンアトリエに行った|いぬい




